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72 名前:ほんわか名無しさん[] 投稿日:2007/03/19(月) 13:44:33 O ある夏のツーリング。 初めてのロング。初めての北海道。出逢いと発見の連続だった。 その旅路も終わりに近づいたころ、直江津郷津で一人の老人に出逢った。 その日の朝は快晴だった。 数日続いた雨で荷物が濡れていたこと、またキャンプ場が海水浴場を兼ねていたこともあって 俺は荷物とともに日光浴をしていた。まるで干物になったような気分だ。 「もう何日目?」 ふいに声がする。目を開け、強い日差しのせいで青色がかった視界に入ってきたのは、 白髪でサングラスのご老人と車。話を聞けば、 先々で出逢った人に聞いたおすすめの所や名所をたどる、 予定のない旅をしているそうだ。 「私はね、病気で胃もほとんど取ってしまったし、もう長くはないんだ。だからね、 向こうへの土産のつもりでね、この旅してるんだよ。」 昔の人は言っていた。旅は日常から非日常へのシフトだ、と。 そして旅の終わりは、非日常から日常へと還ってゆくことだと。 またある人は教えてくれた。 73 名前:ほんわか名無しさん[] 投稿日:2007/03/19(月) 13:46:14 O 旅を表す英語は色々あるんだが、特に journey は、長い旅、終わらない旅、 人生の縮図という意味もあるのさ、と。 この人はその縮図の果てに、何を見たいんだろうか。 「君は北海道から帰ってきたのか! そうか、北海道も行ってみようかな。」 変わったところがいいと言うので、礼文島の桃岩荘ユースを勧めてみた。 そうだ、10月に東京でそのユースの大会が行われるそうなんで、 よかったらそこで会いませんか?と日時を勧めてみる。 「じゃ私がそのユース行けばわかるから、その件は私の宿題にしましょう。 その方が楽しみがあるでしょう。」 と返された。一本とられた。 「じゃ、また会いましょう。」 と言って、ご老人は行ってしまった。 俺はご老人が勧めてくれた「おわら祭風の盆」を見に、富山へ向かった。 夏は終わり、10月のユースの大会を前に、この人に手紙を出した。 東京での再会を楽しみにしています、と。 ご老人は大会に来なかった。 再度手紙を出しても、返事はなかった。 ご老人がどうなったか、わからない。 この人は人生の果ての間際に、旅という人生の縮図の中で、 何を求め、何を想ったんだろうか。 南会津の中嶋さん。 俺はその答えを聞きたかった |
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